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《 2018.7.18 》

介護離職、依然約10万人 前回調査とほぼ変わらず 男性は4000人増加


状況はほとんど改善しておらず引き続き厳しい。このデータは今後の制度改正をめぐる議論にも一定の影響を与えそうだ。
 
親族の介護や看護のために仕事を辞めざるを得なくなる「介護離職」−− 。総務省が13日に公表した就業構造基本調査の結果で、その直近の動向が報告されている。2016年10月から2017年9月までの1年間に介護離職をした人は、全国で9万9100人。10万1100人だった前回の調査(5年前)から少ししか減っていない。
 
平成29年就業構造基本調査結果
 
安倍晋三首相は「介護離職ゼロ」を政権の旗印の1つに掲げている。2015年に実現を目指す方針を打ち出してから、特別養護老人ホームや地域密着型サービスなどの整備のスピードアップを図ってきた。加えて、2017年度の介護報酬改定で「介護職員処遇改善加算」の拡充を実施するなど、サービスの担い手の確保にも力を入れている。ただし、2017年9月までの時点ではその成果が十分に表れていないようだ。
 
介護離職をした9万9100人のうち、男性は2万4000人、女性は7万5100人。前回の5年前と比べると、女性は約6000人減ったが男性は約4000人増えていた。調査の時点で再び何らかの仕事に就いていた人は2万4600人で、それ以外の7万4500人は働いていなかったという。親族の介護をしている人の有業率は、男性が65.3%、女性が49.3%。前回比では女性が4.4ポイント上がっているが、男性はまったく変わっていない。男性の50歳から54歳など、有業率が下がっている年齢階級もあった。
 

「給付抑制は介護離職ゼロに逆行」との声も

 

「介護離職ゼロ」を謳った政府には今後、こうした現状を好転させていくことが厳しく求められていく。ただ道のりは険しい。施設や在宅サービスの整備は、慢性的な人手不足がネックとなってうまく進まないのではと懸念されている。介護職員のさらなる処遇改善や外国人労働者の受け入れ拡大も決まっているが、どれだけの効果が出るかはまだ不透明だ。
 
このまま「介護離職ゼロ」を達成できるメドが立たなければ、給付費の抑制に向けた施策への反発が一段と強まっていく可能性が高い。例えば、訪問介護の生活援助の縮小や利用者の自己負担の引き上げ。政府はこれらを、2021年度に控える次の制度改正をめぐる議論で俎上に載せる意向を示しているが、一部の業界関係者からは既に疑問の声が噴出している。「介護離職が加速してしまう」「介護離職ゼロに逆行するのではないか」。今回の調査結果によってこうした意見はさらに勢いを増していく。
 
一方、財政規律にプライオリティを置く財務省などは引き続き制度の「適正化」を主張していく構えをみせている。今後、相互の対立が激しくなる公算が大きい。対応がどっちつかずになれば結果も中途半端になる恐れがあり、政府は難しい判断を迫られることになる。

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