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まとめ

《 2018.6.19 》

政府、今年度の「骨太方針」を閣議決定 介護の関連では何が書かれたのか?


《 15日の諮問会議・未来投資会議合同会議(画像出典:首相官邸HP)》

政府が15日に閣議決定した今年度の「骨太方針」。急速な人口減少と高齢化という未曾有の危機を見据えた改革など、これから取り組むべき重要課題についての国の基本スタンスが示されている。介護の関連では何が書かれているのか?
 
経済財政諮問会議・未来投資会議合同会議
 
まずは総論。国の借金が膨らみ続ける状況を変え、財政の健全化を果たすことの重要性が改めて説かれている。政府は今回、国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)の黒字化を2025年度までに実現する、という新たな目標を設定。これまでは2020年度の達成を目指すとしてきたが、税収の伸び悩みや消費税率の引き上げで得られる増収分の使途の変更、補正予算の影響などで思うように進まなかったため、5年間先送りする形となった。
 

 骨太方針2018 抜粋
 
経済再生と財政健全化に着実に取り組み、2025年度の国・地方を合わせたPB黒字化を目指す。
 
同時に債務残高対GDP比の安定的な引下げを目指すことを堅持する。

 
再出改革のターゲットはやはり社会保障だ。子育て世帯なども支援する「全世代型」へ転換していきつつ、自然増の抑制や給付の適正化、サービスの効率化、生産性の向上などに注力する路線が堅持されている。全体の方向性に大きな変化はない。
 

 骨太方針2018 抜粋
 
社会保障は歳出改革の重点分野である。
 
2025年度のPB黒字化に向けては、社会保障改革を軸として、社会保障の自然増の抑制や医療・介護のサービス供給体制の適正化・効率化、生産性向上や給付と負担の適正化等に取り組むことが不可欠である。

 
団塊の世代が75歳になり始めるため、社会保障費は2022年度から急増していく見通し。政府はそれまでの3年間(2019年度から2021年度)を、財政の健全化に向けた「基盤強化期間」と位置づけた。ただし、毎年の社会保障費の伸びに関する目安は置いていない。従来は「3年で1.5兆円(年5000億円)」などと定めていたが、「高齢化による増加分に相当する伸びにおさめる」とするにとどめている。
 

 骨太方針2018 抜粋
 
2022年からは団塊世代が75歳に入り始め、社会保障関係費の急増が見込まれる。
 
それまでの2019年度〜2021年度を「基盤強化期間」と位置付け、経済成長と財政を持続可能にするための基盤固めを行う。
 
社会保障関係費については、再生計画において、2020年度に向けてその実質的な増加を高齢化による増加分に相当する伸びにおさめることを目指す方針とされていること、経済・物価動向等を踏まえ、2019年度以降、その方針を2021年度まで継続する。

 
また、「2019年10月1日に予定されている消費税率の8%から10%への引上げを実現する」と明記。この増収分を元手に実施する介護職員の処遇改善について、「消費税率引上げ日の2019年10月1日に合わせて実施する」と約束した。
 

 骨太方針2018 抜粋
 
介護人材の処遇改善について消費税率引上げ日の2019年10月1日に合わせて実施する。

 

 

 ケアプランの自己負担を検討へ

 

介護関連の具体策は多岐にわたる。目玉は給付の適正化だ。政府は居宅介護支援のケアマネジメントでも自己負担を取る案を俎上に載せると説明。市町村の総合事業に移すサービスを増やす構えもみせたが、今回は訪問介護の生活援助に限定した書きぶりとしている。
 

 骨太方針2018 抜粋
 
介護のケアプラン作成、多床室室料、介護の軽度者への生活援助サービスについて、給付の在り方を検討する。

 
1割から2割、2割から3割など、自己負担の「引き上げライン」も再考するという。「能力に応じた負担を求める」という原則に沿って議論する考えを示した。財務省や経済界は「原則2割」などと訴えているが、それとはやや距離を置いた文言が選ばれている。
 

 骨太方針2018 抜粋
 
高齢者医療制度や介護制度において、所得のみならず資産の保有状況を適切に評価しつつ、「能力」に応じた負担を求めることを検討する。
 
年金受給者の就労が増加する中、医療・介護における「現役並み所得」の判断基準を現役との均衡の観点から見直しを検討する。

 
1人あたりの給付費の地域差に着目した取り組みも引き続き進めていく。ここでは都道府県の役割、進捗管理や要因分析などが重視されている。
 

 骨太方針2018 抜粋
 
1人当たり医療費の地域差半減、1人当たり介護費の地域差縮減に向けて、国とともに都道府県が積極的な役割を果たしつつ、地域別の取組や成果について進捗管理・見える化を行うとともに、進捗の遅れている地域の要因を分析し、保険者機能の一層の強化を含め、更なる対応を検討する。

 
生産性の向上も柱の1つだ。介護報酬もこのパラグラフの中で触れられている。政府は人工知能(AI)やロボット、IoT、センサーを有効に活用していくと記載。介護経営の大規模化・協働化を進める意向も打ち出した。
 

 骨太方針2018 抜粋
 
テクノロジーの活用等により、2040年時点において必要とされるサービスが適切に確保される水準の医療・介護サービスの生産性の向上を目指す。
 
診療報酬や介護報酬においては、適正化・効率化を推進しつつ、安定的に質の高いサービスが提供されるよう、ADLの改善等アウトカムに基づく支払いの導入等を引き続き進めていく。
 
人口減少の中にあって少ない人手で効率的に医療・介護・福祉サービスが提供できるよう、AIの実装に向けた取組の推進、ケアの内容等のデータを収集・分析するデータベースの構築、ロボット・IoT・AI・センサーの活用を図る。
 
従事者の業務分担の見直し・効率的な配置、介護助手・保育補助者など多様な人材の活用、事業所マネジメントの改革等を推進する。
 
介護の経営の大規模化・協働化により人材や資源を有効に活用する。

 
いわゆる「科学的介護」を引き続き推進する考えも盛り込んだ。「ケアプランAI」の実用化もこの文脈で語られている。
 

 骨太方針2018 抜粋
 
科学的介護を推進し、栄養改善を含め自立支援・重度化防止等に向けた介護の普及等を推進する。
 
特に、自立支援・重度化防止等に資するAIも活用した科学的なケアプランの実用化に向けた取組を推進するとともに、ケアマネジャーの質の向上の観点から、その業務の在り方を検討する。

 
介護予防・健康づくりの重要性も強調した。健康寿命の延伸を目標として明確化し、地域間格差の解消に取り組むとしている。「頑張った者が報われる制度を整備する」とも明記。認知症施策の充実に努める姿勢もみせた。
 

 骨太方針2018 抜粋
 
高齢者をはじめとして多様な就労・社会参加を促進し、社会全体の活力を維持していく基盤として、健康寿命を延伸し、平均寿命との差を縮小することを目指す。
 
高齢者の通いの場を中心とした介護予防・フレイル対策や生活習慣病等の疾病予防・重症化予防、就労・社会参加支援を都道府県等と連携しつつ市町村が一体的に実施する仕組みを検討するとともに、インセンティブを活用することにより、健康寿命の地域間格差を解消することを目指す。
 
医療・介護制度において、データの整備・分析を進め、保険者機能を強化するとともに、科学的根拠に基づき施策を重点化しつつ、予防・健康づくりに頑張った者が報われる制度を整備する。
 
新オレンジプランの実現等により、認知症の容態に応じた適時・適切な医療・介護等が提供されるよう、循環型ネットワークにおける認知症疾患医療センターの司令塔としての機能を引き続き強化し、相談機能の確立等や地域包括支援センター等との連携を進めることを通じ、地域包括ケアシステムの整備を推進する。

 
新たなインセンティブの交付金にも言及。財源に調整交付金を活用するかどうかについて、今年度から2020年度までの第7期のうちに結論を得るとした。
 

 骨太方針2018 抜粋
 
介護保険の財政的インセンティブの評価指標による評価結果を公表し、取組状況の「見える化」や改善を進めるとともに、第8期介護保険事業計画期間における調整交付金の活用方策について、改正介護保険法による新たな交付金による保険者の取組の達成状況や評価指標の運用状況等も踏まえ、保険者間の所得水準の差等を調整するための重要な機能を担っていること等に留意しつつ、第7期期間中に地方公共団体関係者の意見も踏まえつつ、具体的な方法等について検討し、結論を得る。

 
このほか、今回の「骨太方針」には以下のような文言も含まれている。
 

 骨太方針2018 抜粋
 
元気で働く意欲のある高齢者を介護・保育等の専門職の周辺業務において育成・雇用する取組を全国に展開する。
 
住み慣れた場所での在宅看取りの先進・優良事例を分析し、その横展開を図る。
 
新たな地域別の将来人口推計の下での大都市や地方圏での医療・介護提供に係る広域化等の地域間連携を促進する。

 

 

 新たな改革工程表を年末に

 

安倍晋三首相は15日の経済財政諮問会議で、「新たな改革の工程表を年末までに示す」と表明。茂木敏充経済再生担当相は会合後の会見で、「新たな工程表は2025年までを視野に入れて考えていく」との意向を示した。

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