広告

Report

《 2018.5.30 》

利用者の犬・猫、行き場ある? 取り残されるペットの問題 介護職ができること


事前の話し合いと準備、それを促す支援が大切 −− 。そんな認識が共有された。
 
高齢の飼い主に取り残されてしまう犬や猫の問題を考える会合が今月、川崎市の高津市民会館で開かれた。主催したのは市のボランティアなどでつくる「かわさき高齢者とペットの問題研究会」。不幸な境遇に陥るペットを減らし、地域のトラブルを未然に防ぐ方策を地域で考える企画だ。
 
国内のペットフード製造・販売メーカーの業界団体「ペットフード協会」の推計によると、全国で飼われている犬と猫は約1844万6000頭(昨年9月時点)。総務省の人口推計と比べると、全国の15歳未満の人口(昨年10月:1559万2000人)より多い。外務省の公式サイトの情報によると、オランダの人口(昨年12月:1718万4000人)を上回っている。
 

 急な入院をきっかけに…

 

今回の会合では、川崎市のかしまだ地域包括支援センターの深井純子センター長が、幸区や中原区、鶴見区のケアマネジャーを対象として今年4月に行った調査の結果を報告した。利用者のペットについて困った経験がある −− 。82%のケアマネがそう答えたと伝えた。どんな状況だったのか尋ねると、
 
「入院後に在宅困難となり自宅に残されたペットの対応に苦慮した」
 
「入院中に預かってくれるところを調整したら料金を請求された」
 
「利用者がペットの世話をきちんとできなくなり、排泄物で清潔が保てていない」
 
といった声が寄せられたという。深井センター長は、「ペットが飼えなくなった場合の対応をあらかじめ聞き、一緒に考えてもらう −− 。それが支援者としてできることではないか」と説明。「ペットの次の行き場を共に検討し、事前に準備をしておくことが重要」と呼びかけた。
 

「ペットは高齢者と社会をつなげる」

《 宮前区「地域見守り支援センター」松浦担当部長 》

川崎市宮前区の「地域見守り支援センター」の松浦和子担当部長も、「長期の入院・入所などに備え、代わりに面倒をみてくれたり引き取ってくれたりする人を前もって決めておく必要がある」と指摘。高齢者がペットを飼うことについては、「散歩を通じて知り合いが増えたり会話のきっかけになったりして、社会とのつながりを保つうえでも有効」と評価した。
 
川崎市動物愛護センターの須崎聡所長は、実際に多くのペットが取り残されてしまったケースを紹介。高齢者がペットを飼うことはメリットも多い一方で、地域のトラブルを生みかねないリスクをはらんでいると語った。深刻な事態に発展するのを防ぐには、「問題が小さいうちに見つけて素早く対処するのが効果的」だという。周囲の関係者で情報を共有しておくことも有効、とも助言している。

広告