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Interview

《 2018.5.21 》

医療・介護・福祉・子育ての機能を集約 「丸ごとの支援」を目指す杉並区の挑戦


《 ウェルファーム杉並 》

杉並区は3月末に、在宅医療や介護、福祉、子育て支援、仕事探しなど、区民の困りごとに幅広く横断的に対応する複合施設「ウェルファーム杉並・複合施設棟」をオープンさせた。
 
JR荻窪駅から徒歩8分のアクセス。4階建ての新たな建物には、新設する在宅医療・生活支援センターをはじめ、社会福祉協議会や福祉事務所、くらしのサポートステーション、成年後見センター、消費者センター、集会所、子ども・子育てプラザ、就労支援センターなどが入っている。隣には、定員200人超の「ウェルファーム杉並・特別養護老人ホーム棟」も建設する予定。診療所や訪問看護ステーション、看護小規模多機能型居宅介護の事業所などとあわせ、2021年度から本格稼働させる予定だ。
 
どんな経緯で設立を決めたのか? どんな拠点に発展させようとしているのか? 在宅医療・生活支援センターの開設準備を担当する山田恵理子課長と福本弘係長に話を聞いてきた。

《 杉並区 福本係長(左)山田課長(右)》

  −− ウェルファーム杉並開設の経緯は?
 

当時、区では急速な高齢化の進展に伴い、特別養護老人ホームの整備が喫緊の課題となっていました。しかしながら、住宅地である本区では、特養の整備に適した大規模用地の確保が困難な状況でした。一方、荻窪税務署は、かねてから老朽化に伴う建て替えが課題となっており、区はこれまで、駅近くへの移転や税務行政の効率化、税の総合相談の実施など、区民サービスの向上につながるような形での建て替えを要望していました。

 

そこで、これらの課題を同時に解決する方策として、区が保有する複合施設「あんさんぶる荻窪」と荻窪税務署プラス隣接する国家公務員宿舎用地を対象とした財産交換を区から提案し、その方向で協議を進めることについて国との合意が図られ、その後の協議で財産交換が成立する運びとなりました。これにより、区は約6300平方メートルという広大な敷地を使えることになり、この敷地に大規模な特養をはじめ、区民の福祉と暮らしをサポートする拠点(ウェルファーム杉並)を建設することとなったのです。

 

  −− 多くの機能を持つ新たな複合施設ができたようです。
 

新たな「ウェルファーム杉並」は「福祉と暮らしのサポート拠点」。様々な機能を共存させることにしました。暮らしの困りごとを相談したい、趣味や子育てなどの仲間と交流したい、地域の中で何か活動したい、こんな声に応えると同時に、生活に何らかの困難を抱えている人を、制度ごとの縦割りではなく横断的に支えられる体制を作るためです。子どもから高齢者までの暮らしを幅広く支えていく −− 。そうしたビジョンを描きました。診療所や訪問看護ステーションなど、医療の窓口を併せ持っていることもポイントだと考えています。そして、区の新たな機関「在宅医療・生活支援センター」が、様々な機能をつなぐ重要な存在となるでしょう。

 

  −−「在宅医療・生活支援センター」とは?
 

在宅医療などに関する相談や複合的な生活課題を抱える世帯の支援を強化するために、相談機関をサポートし、関係機関の調整を行います。複合的な課題を抱える人はこれまで、制度ごとに異なる関係機関から個々に支援を受けていました。今後は、制度や分野に渡る支援を集約し、センターが1つの計画にまとめ、横ぐしを刺すように世帯を丸ごとサポートする体制をつくっていきます。最初に相談を受けた機関が「複雑で難しい課題を抱えているな」と判断し、関係機関同士の綿密な調整が必要な場合は、すぐにセンターがつなぐことにしました。センターが全体のハブ機能を果たし、シームレスで効率的な支援を展開する調整役となる構想です。

 

  −− 定員200人超の大型特養も開くようです。
 

2013年度末、杉並区には待機者がおよそ2000人もいました。そこで、希望する人が1人でも多く入所することができるようにすると共に、在宅介護を支援する観点から、多くのショートステイを持つ特養を整備することとなりました。併設する診療所は訪問診療がメイン。看取り介護の実践も含め、医療ニーズにもしっかり応えられる施設にできるよう計画しています。また、訪問看護ステーションや看護小規模多機能型居宅介護事業所も併せて整備しますので、本格的に稼働すれば、区内の在宅医療と介護の連携は強化されることになるでしょう。

 

  −− 当面の課題は?
 

高齢化がさらに進展する将来への備えです。急増する在宅医療・介護のニーズにどう応えていくかが、最大の課題と言えるでしょう。「ウェルファーム杉並」は重要な拠点の1つ。そのため、区内全体の取り組みをさらに発展、加速させるきっかけ、糸口にもしていきたい。様々な分野の所管部署、医師や看護師、ケアマネジャー、介護・障害福祉サービス事業者、民生・児童委員、区民など地域の関係者も巻き込み、より良い体制をみんなで作っていければと考えています。

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