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Column

《 2018.5.7 》

医療・介護連携、重要性を増す橋渡し役 ケアマネジャーたちの思い


2018年4月、3年ぶりとなる介護報酬の改定が施行された。今回の改定は、6年に一度の診療報酬との同時改定であり、団塊の世代が後期高齢者となる2025年に向けた道筋を示す極めて重要な改定となることから、医療と介護の連携についてより一層推進されたものとなった。
 
日本介護クラフトユニオン(NCCU)は、本年1月26日に介護報酬改定案が答申されてから、随時組合員に向けての勉強会を開催するとともに、「2018年度介護報酬改定(居宅介護支援)についてのアンケート」を行った。調査対象者はNCCUホームページに登録している組合員とし、602名(内ケアマネジャー84名)から回答があった。回答いただいた調査結果とともに、介護現場のケアマネジャーの声を3回に分けて紹介していきたい。

第1回のテーマは、本年度の改定において最も重きを置かれた「医療と介護の連携の強化」についてである。居宅介護支援の加算の見直しや新設についても、居宅介護支援事業所と医療機関との連携強化に重点が充てられたものとなった。
 

「顔の見えない主治医では不安」との声も

 

まずは、入院時情報連携加算(見直し)についてである。
 
入院時の情報提供における問題として、現場のケアマネジャーからは医療関係者との「情報提供のための面談時間の調整が困難」「情報連携の手間が大変」という声が聞かれる。とはいえ、効率的、効果的な情報共有を行うことは、利用者に対して必要な医療・介護サービスを提供するためには必要不可欠なことである。また、この加算と連携するのが診療報酬の「入退院支援加算」であるが、「入退院支援加算I」において「入院3日以内に退院困難な患者を抽出する」等が算定要件となっている。これらを踏まえ、今改定では「入院時情報連携加算I」の要件として入院後3日以内の情報提供を新たに評価し、情報提供の方法による差は設けない、ということになった。
 
この改定内容について、「評価する」と回答したケアマネジャーは57.2%であった(わからない19.0%、評価できない23.8%)。理由としては、「入院に要する情報は早めに提供した方が、利用者本人や入院先にとってもメリットがある」「4、5日経ってからでは、すでに入院先で情報を把握している場合がほとんど」「7日も経てば、病院側はすでに退院調整に動いているため、遅い」。したがって、早期の情報提供は「当たり前」であり、評価は「妥当」と考えるケアマネジャーが多かった。
 
情報提供方法については、改定前は入院先に訪問しなければ「入院時情報連携加算I」は取れなかったが、提供手段は問わないことにより「入院先が遠い場合や業務が忙しい時は訪問できないことがあったので、連携が取りやすくなる」という意見もあった。一方、「顔の見えない主治医との連携に不安」「他の都道府県の医療機関とどうやって連携すればいいのかわからない」という不安の声もあることから、迅速さを重視するあまり医療側との意思疎通に欠けることのないよう、慎重に進めていかなくてはならない。
 

 双方の協力がカギ

 

次に、退院・退所加算(見直し)についてである。
 
これまで、医療機関が実施する退院時カンファレンスについては、医療関係者との連携の必要性は十分に分かってはいるが、「病院側の都合、医師の都合に合わせなければならず日程調整が困難」「医療者の介護に対する知識不足」「主治医とのコミュニケーションがうまくとれない」等の課題が挙げられていた。これは、医療と介護の相互理解が進まない、連携が促進されない理由でもあった。厚生労働省の調査(2018年度)によると、退院時カンファレンスにケアマネジャーが出席した割合は50.8%となっている。これらを踏まえ、今改定はカンファレンスへの参加に重点が置かれた内容となった。
 
この改定内容について、「評価する」という回答は64.3%であった(わからない21.4%、評価できない14.3%)。退院時には、「カンファレンスに出向くこと」「退院が決まってから短い期間でケアプランを作成しなければならないこと」「サービスを一から調整し、退院と同時に開始させなければならないこと」等、ケアマネジャーの業務内容が増加する。「評価する」理由で最も多かったのは、この「手間と時間」が評価されたことに対してであるとともに、評価は「当然である」という声もあった。
 
また、この加算と連携する診療報酬の「介護支援連携指導料」「退院時共同指導料II」を踏まえた上で、「もう少し単位数が多くてもいい」「診療報酬の評価と比べ、まだまだ評価が低い」等、ケアマネジャーの労力を過小評価しているのではないか、という意見もあった。
 
ケアマネジャーは、利用者が退院・退所を経て在宅へ安心して移行できるよう、心身の状況に応じた適切なサービスが受けられるケアプランを作らなければならない。そのため、退院時カンファレンスへの参加は重要となるが、参加率そして同加算の算定状況(21.5%:2018年5月)の向上については、これまで課題となっていた状況をいかに医療・介護双方が連携しながら解消していくかが鍵となることは言うまでもない。
 

「ターミナルはスピードが違う」

 

最後に、ターミナルケア加算(新設)についてである。
 
「ターミナルのご利用者の担当になると、その方中心に自分のすべての業務が回るのですよ」というケアマネジャーの声を聞いたことがある。状態変化が激しいため、利用者宅への訪問、サービス担当者会議、ケアプランの書き換えも頻回になる。また、利用者家族の心のケアも必要不可欠となる。したがって、ターミナル期はケアマネジャーにとって身体的にも精神的にも負担が大きくなる。
 
今改定では、ターミナル期の頻回モニタリングを評価する「ターミナルケアマネジメント加算」が創設された。
 
この改定内容について、「評価する」という回答は66.7%であった(わからない19.0%、評価できない14.3%)。ターミナル期は「数日で体調やADLが変化するため、訪問回数も増える上、神経も使う」「状態に合わせたプラン変化が頻回になり、主治医や病院との連携等も多くなり忙しくなる」ため、ケアマネジャーにとっても業務内容、心身ともにかなりの負荷がかかる。今回、このような加算が創設されたことは「妥当だ」「当然だ」という回答が多く、「ターミナル期は通常と異なるスピードで動いているので、今まで評価されていないことに納得していなかった」という声も散見される結果となった。また、「ターミナル期の他職種連動をより意識するようになる」「これからは在宅で最期を迎える時代だと思うから評価できる」という建設的な意見もあった。
 

 報われた感も大きい

 

2018年度介護報酬改定は、地域包括ケアシステムの推進にあたり、「中重度の要介護者も含め、どこに住んでいても適切な医療・介護サービスを切れ目なく受けることができる体制の整備」ということが重視された。そして、診療報酬との同時改定ということもあり、特に入退院時とターミナル期において医療と介護の連携を強化することに主眼が置かれた。
 
今回の改定は、これまでも医療機関や主治医との連携を行ってきたケアマネジャーにとっては、「評価された」「報われた」感が大きい内容となった。その一方で、主治医とのコミュニケーションや医療機関が実施するカンファレンスへの参加を得意としていないケアマネジャーも少なからずいることは否めない。今後は、医療関係者とケアマネジャーの連携と協働の重要性が増していく中で、その分野をいかに克服していくかが課題となる。
 
2025年に向けて、地域包括ケアシステムの構築が進められている今、医療・施設から在宅への橋渡し役として、ケアマネジャーが果たさなければならない役割はますます大きくなっていく。

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